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経常収支の赤字って悪いこと? | マイナビニュース

赤字極悪論者っているよね


[図表] 経常収支の内訳。「所得収支」が投資による収益を表す

 日本の経常収支が慢性的な赤字に転落する可能性が高まってきました。財務省が12月9日に発表した10月の国際収支では、国の最終的な収支を示す経常収支が1279億円の赤字となりました。経常赤字と聞くと、非常によくないイメージですが、実際にはどんな影響があるのでしょうか?

 国の最終的な収支である経常収支は、簡単に言うと貿易収支に所得収支(投資による収益)を加えたものです。要するに貿易で儲けた額と投資で儲けた額の合計ということになります。

理論上は経済成長に直接影響ない

 日本はよく知られているように、一貫して工業製品の輸出で国を支えてきましたから、日本の貿易収支は何十年もの間、黒字が続いてきました。しかしバブル崩壊後からは少し様子が変わってきます。日本は製造業で以前ほど利益を上げられなくなる一方、これまで儲けた外貨を海外に再投資し、その利子や配当でも利益を確保するようになってきたのです。

 2005年には投資による利益が貿易黒字を上回り、2011年にはとうとう貿易収支が赤字に転落しました。現在は貿易による赤字を、投資による利益がカバーすることで、最終的な収支を黒字に保っています。

 しかし円安によって輸入価格が増大したことや、思ったほど輸出が伸びなかったことなどから貿易赤字が拡大しており、今月はとうとう経常収支も赤字になってしまったわけです。日本が慢性的な経常赤字に転落するのかはまだ分かりませんが、途上国を卒業し、成熟国となった国のほとんどが経常赤字になっている現実を考えると、時期の問題は別として、日本も赤字に転落することは確実といってよいでしょう。

 赤字転落というと非常に良くないイメージがありますが、経済学的に言えば、経常収支の状況がその国の経済成長に直接的な影響を与えるわけではありません。経常収支の変化が経済にどのような影響を与えるのかは、その国が置かれている状況によって異なっているのです。

赤字の急拡大はデメリット

 例えば米国は毎年4700億ドル(約47兆円)にものぼる莫大な経常赤字を垂れ流していますが、米国市場には魅力があり、それを上回る投資資金の流入があるため、経常収支の赤字は大きな問題にはなっていません(今年からシェールガスの輸出によって米国の経常収支は劇的に改善しつつあります)。しかし日本の場合には、経常黒字から経常赤字に転落することのデメリットは大きいと考えるべきでしょう。

 日本はこれまで数十年にわたって経常黒字を続けてきており、経済や社会の基本構造もそれを前提に組み立てられています。経常赤字が急激に拡大すると、製造業からサービス業へのシフトが一気に進んでしまい、社会に大きな混乱をもたらす可能性があります。

 また日本政府の財政赤字が巨額であることや、高齢化の進展で貯蓄率の低下が深刻になっている状況を考えると、経常赤字への転落が、金利上昇と為替下落の引き金を引く可能性があります。長期的に経常収支が赤字になるにしても、急激な変化は避けたいところです。

 経常収支を改善させるためには輸出を増やすか輸入を減らすしかありませんが、両者とも構造的な問題に起因しており、容易に改善できるものではありません。現在のところ、所得収支を増大させることが、もっとも現実的な解決策といってよいでしょう。具体的には、米国債に大きく偏っている官民の海外資産の比率を見直し、企業の直接投資の比率を上げて投資収益率を向上させることなどが考えられます。

(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)


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